豊かな日本の四季に育まれたお米を中心とした日本の食文化をご紹介します
春を告げる大地の芽「竹の子」
竹の茎を若いうちに採って食用とするのが竹の子です。モウソウチクが大部分で、ほかにハチクやネマガリタケなども食します。掘りたてほど美味しく、時間が経つと苦味やえぐ味が出ます。竹の子を漢字で「筍」と書くのは、成長が早く、一旬(十日)で竹になるからだそうです。春の到来を告げる「菜の花」
古くから野菜として、また油を採るために栽培されてきた作物で、アブラナ科のアブラナの花をいいます。葉も茎もおいしく食べることができ、ゆでておひたしやあえ物、炒め物、汁物、揚げ物など様々に使うことができます。ビタミンCやミネラルが豊富な緑黄色野菜で、一面に広がる黄色い菜の花畑は春の風物詩です。茶わん蒸しの名脇役「百合根(ゆりね)」
加熱するとほくほくしてほろ苦い風味のある百合根。独特の香りと味覚が楽しめ、茶わん蒸しのほか、きんとんなどの和風料理に用いられます。食物繊維が豊富で、コレステロール値の上昇を抑える働きもあるそうです。焼きミョウバンを加えて煮ると煮崩れしません。冬の野菜を代表する「白菜」
鍋料理や漬物などに欠かせない、冬の野菜を代表する白菜。意外にも日本に普及した歴史は浅く、日清・日露戦争の際に兵士たちが現地から持ち帰ったことがきっかけといわれています。ビタミンCやカリウムが多く、なにより食物繊維が豊富でやわらかく 、胃腸にやさしいのが特徴です。冬場の栄養補給に「ほうれん草」
西アジア原産で、東洋種と西洋種に大別されます。現在は両者の交配種が主流ですが、冬のほうれん草のビタミンC含有量は、夏の3倍。また、霜にあたると繊維も柔らかくなり、甘味も増して一段と味も良くなります。ビタミンやミネラル類が豊富で、特に鉄分を多く含み、貧血予防に効果があります。免疫力を高める優秀野菜「人参」
アフガニスタン周辺が原産地。17世紀に赤くて長い東洋種が、18世紀末に橙(だいだい)色で甘味の強い西洋種が渡来し、第2次大戦後に西洋種が主流になりました。免疫力をアップするカロテンが豊富に含まれ、ビタミンAの含有量は野菜屈指。ビタミンB群も豊富で栄養価の高い優秀野菜です。秋の味覚を彩る木の実「栗」
栗は秋の味覚を代表する木の実。皮のままゆでたり、焼いたりして食べるのも美味しいけれど、お米とともに炊き込む「栗ご飯」や「栗おこわ」は、秋の“旬の味”の代表です。主成分は炭水化物ですが、ビタミンB1やCも少なくなく、またカリウムが豊富に含まれていて風邪予防や疲労回復などに効果があります。“成す”に通じる縁起物「茄子(なす)」
インド原産のナス科の植物で、日本には奈良時代に伝わりました。当初は「なすび」と呼ばれましたが、宮中の上品な言葉遣いから「なす」に。栄養価は低いのですが、食物繊維が多いこと、皮の紫色の成分であるナスニンは動脈硬化や老化防止に、また、疲れ目やドライアイの予防にもよいと注目を集めています。甘くて美味しい「スイートコーン」
中南米原産のイネ科の植物。コロンブスのアメリカ大陸発見以来、世界に伝わり、稲、小麦と並ぶ世界三大穀物のひとつに数えられています。デンプンが主成分で、胚芽には脂質、ビタミンB群やEを多く含みます。収穫後の味や栄養価の変化が早いので、早く調理して、冷蔵保存するとよいでしょう。夏のサラダの主役級「葉レタス」
中近東から地中海沿岸にかけた地域が原産のキク科の植物。レタスは品種改良され、多種多様な種類がありますが、葉が巻いている玉レタスより、サニーレタスやサラダ菜の方がカロテンやビタミン類、ミネラルなど体に必要な栄養素がまんべんなく含まれています。見た目も爽やかな夏のサラダの主役です。ネバネバが元気の素「モロヘイヤ」
病気になったエジプト王が、モロヘイヤのスープで治ったという伝説から「王様の野菜」の別名があります。カロテンの含有量は野菜の中でもトップクラス。また、ビタミン類やミネラルも豊富で、栄養価はまさに野菜の王様。さっぱりした味で、刻むとネバネバが出てきます。茹でてアク抜きをしてから食しましょう。歴史は古い未熟もの「さやえんどう」
えんどう豆のうち、未熟の実をさやごと食べるものがさやえんどう。えんどう豆の栽培の歴史は石器時代にまでさかの ぼり、古代エジプトのツタンカーメン王の副葬品の中からも発見されています。日本では奈良時代に野良豆の名前で記 録がありますが、さやごと食べるようになったのは江戸時代からだそうです。